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ホラゲー解説&考察ブログ "オダラボ"

【Steam】『SHE WAS 98』認知症の老人を介護するホラーゲームの真相を考察



今回は、『SHE WAS 98』というゲームを紹介します。
98歳の認知症の祖母を介護する青年が、家の中で不可解な現象に巻き込まれていくホラー作品です。

閉ざされた家という逃げ場のない環境で、現実と異常がじわじわと混ざり合っていくのが特徴です。

 

こんな人におすすめ

・家庭崩壊などの重いホラーが好きな人

・ストーリーの裏側を考察するのが好きな人

・閉鎖空間でじわじわ追い詰められる恐怖が好きな人

あらすじ

100歳近い祖母の世話をするために、古びたアパートへ戻ってきた孫の青年が主人公です。親戚一同が見放す中、彼は義務感だけでなく「祖母が亡くなった後にアパートを譲り受ける」という下心を抱いて介護に訪れます。 決まった時間に薬を飲ませるなどのルーティンワークから始まりますが、認知症を患っているはずの祖母の様子に違和感を覚え始めます。

 

⚠️ この記事は『SHE WAS 98』のネタバレを含みますのでご注意下さい。

▼ ゲーム視聴はオダケンさんのゲーム実況動画がオススメです!

https://m.youtube.com/watch?v=_NVcsLC5lpg

 

本ページにはプロモーションが含まれています。

 

作品概要

タイトル SHE WAS 98
ジャンル 一人称視点サイコロジカルホラー(ウォーキングシミュレーター)
作者 N4bA / Notex
プレイ時間 約1時間以内の短編
リリース日 2026年1月14日
このゲームの特徴

・高品質な音響演出とリアルなグラフィックが特徴です。「恐怖、私欲、報い」をテーマに据え、圧迫感のある不気味な雰囲気の中で物語が進行します。

・終盤にかけてのストーリーは非常に衝撃的であると評価されていて、単なる驚かしに留まらない物語性が支持されています。

 

▼ このゲームの作品ページはこちら

store.steampowered.com

 

ストーリー詳細(ネタバレあり

ここからは、ネタバレありで詳しいストーリーとエンディングについて紹介します⚠️

 

介護と隠された目的

主人公の青年は、親戚たちから見放され、認知症を患ってボロボロのアパートで一人暮らしをする98歳の祖母の世話をするために戻ってきます。

彼は義務感から介護をしているように見えますが、本音は彼女が亡くなった後にアパートを相続することにあります。

不穏な日常

決まった時間の投薬や掃除など、介護のルーティンをこなしますが、祖母は孫である主人公を認識していないような不気味な視線を向けたり、夜中に壁の向こうで足音が聞こえたりと、不可解な現象が続きます。

 

殺意の実行

主人公は自分のリュックの中に、味も匂いもせず、飲ませても心臓発作に見える特殊な◯薬を忍ばせていました。彼は「あと何年生き延びたところで何が変わるのか」と自分を正当化し、通常の薬に◯を混ぜて祖母に飲ませます。

祖母の死と隠蔽

その薬を飲んだ祖母は、喉の渇きを訴えた直後に息を引き取ります。主人公は平然を装って救急車を呼び、高齢による自然な心臓発作であると偽って、アパートを手に入れることに成功します。

悪夢と過去の記憶

物語の合間には、地下室で古いテレビを探したり、板で封印された部屋に閉じ込められたりする悪夢のような幻覚が挿入されます。これらは、かつて祖母がこのアパートで不当に隔離されていた可能性や、家族の闇を示唆しています。

 

エンディング

本作は、主人公の私欲が招いた悲惨な結末で幕を閉じます。

真相の発覚

祖母が亡くなり2ヶ月後、リフォームを始めた主人公は、かつて自分が幼少期を過ごし、板で打ち付けられていた部屋をバールで開けます。そこには、祖母がかつて幼い孫(主人公)を深く愛していたことを示す思い出の品々が残されていました。

しかし、同時にその部屋の壁には、隔離されていた人物が日数を数えたような刻み跡も残っていました。

祖母の復讐

祖母の亡霊が現れ、自分を亡き者にして家を奪った主人公を「ろくでなし」と非難します。祖母はアパートに火を放ち、主人公を中に閉じ込めます。

絶望の終焉

出口のドアや窓は板で塞がれて開かず、主人公は燃え盛る部屋の中で逃げ場を失い、自らの罪に対する報いを受けることになります。

 

視点を変えた解釈•考察

祖母の隔離は本当に他者によるものだったのか

視点を変えて見てみると、本作で示唆される「祖母の隔離」は、必ずしも家族による加害とは限らない可能性があります。

ここでは一つの仮定として、時系列から整理してみます。

 

祖母は現在98歳。
主人公は成人していると推測できるので、およそ20歳前後と仮定します。さらに、祖母の記憶に強く残っている、幼い孫の姿を5歳前後とすると、祖母の記憶が固着している時期は約15年前。つまり祖母が83歳前後の頃という計算になる。

この時期に認知症を発症したと仮定すると、いくつかの描写と符合します。

 

認知症の進行により、祖母の中では時間が止まり、最も愛着の強い、幼い孫との記憶が心の拠り所となる。一方で、現実の家族や環境は認識が歪み、周囲の人間に対して敵意不信感を抱くようになっていく。

その結果、祖母は外界を遮断するように部屋に閉じこもり、壁に板を打ち付けるなど、自ら外界を遮断するような行動を取った可能性があります。

 

しかし認知症の症状により、その行動の主体が自分であるという認識は失われ、「誰かに閉じ込められている」という被害妄想へと転化してしまう。

つまり、物理的には自ら閉じこもった空間でありながら、本人の認識としては他者に隔離された空間になっている。

これが、「隔離」の正体とも考えられるのではないでしょうか。

 

また、こうした状態であれば家族側も対応が難しく、距離を取らざるを得なかった背景もあるのかもしれません。

このような認識の歪みがあったと考えると、ラストシーンもまた別の意味を持って見えてきます。

葬られた孫

ラストで祖母の亡霊が、燃え盛る炎の中にいる主人公を見ている展開は、単なる復讐としても読めるが、別の見方もできます。

 

祖母は認知症によって、現実の孫ではなく歪んだ孫像を見ていた可能性があります。もしそうであれば、あの炎に包まれたのは現実の主人公そのものではなく、祖母の中で肥大化した
自分を裏切り、奪おうとする存在
としての孫、つまり認識の中の怪物だったのではないでしょうか。

 

そしてそれは同時に、主人公自身が抱えていた罪悪感や後ろめたさが生み出した、自分自身の姿でもあったのかもしれません。

歪められている認識

本作の主人公は、祖母に薬を飲ませ、異変があれば救急車を呼び、亡くなった後は遺品整理を行っています。これらの行動だけを見れば、極めて一般的な介護の範囲に収まっています。

しかし作中では、それらの行為に対して、相続目当て、◯早く居なくなって欲しいといった悪意のラベルが付与されることで、主人公は加害者として描かれていきます。

 

ですがここで一つの可能性として考えられるのは、歪んでいるのは行動そのものではなく、それをどう解釈するかという認識の側なのではないか、という点です。

 

認知症によって被害意識が強まった祖母にとっては、日常的な介護行為ですら、自分を害するもの命を奪おうとするものとして認識されていた可能性があります。

 

現実では支えようとする行為が、祖母の認識の中では奪われる行為へと変換されてしまっている。

その結果として、プレイヤーが目にする主人公像もまた、実像ではなく歪められた像である可能性が浮かび上がります。

 

本作は、単なる財産目当ての孫の末路を描いた作品でなく、どう見えているかという認識の違いによって、善意にも悪意にもなってしまうという、不安定な人間の本質を描いているのかもしれません。

 

まとめ

身内を介護するという日常的なシチュエーションに、主人公の「下心」という人間臭い負の側面が加わることで、より生々しい恐怖が際立つ構成です。

かつて可愛がっていた孫に◯薬を呑まされてしまうおばあちゃんの気持ちを考えると、居た堪れない気持ちになります。

 

介護は確かに綺麗事だけでは済まされませんが、一人の人生の最後を支える役割が、介護です。私も経験があり、介護する側の身を削るような苦労も多いのは確かです。それでも人として尊重して携わってあげたいと、私は思います。きっと、誰よりも本人が一番つらいのです。